梅の種 文様記録

柄や色の覚え書き

ヱ霞 吉祥文様

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ヱ霞 桐菊七宝

最近は白地、黒地の帯をよく見かけるような気がします。

昨日の赤い帯がちょっと古いもののように感じるのとは対照的にこちらはずいぶんと馴染みやすい、でもこれが今のベストか?というとちょっと違う。無彩色の帯はどんな色にも合わせやすいので増えているのかもしれませんし。

 

霞模様だな、と思いながら昨日も参考にした帯の本の模様を見ると「ヱ雲」とありました。

霞か雲か、物質としたら水分でできていて現れ方が違うだけだから似ていますが、雲はもくもくした曲線になるのでこの画像の帯は霞でしょう、たぶん。ヱ雲の「ヱ」、はカタカナの「エ」のことらしく、雲をかたどった形がこの文字と同じようなかたちになっているものから、とすると、この写真ではちょっと違うように見えます。

 

この霞の描き方、どこかで見た、そうそう、平安時代の絵巻物。

十二単衣を着た女性がいる建物の屋根を半分くらい覆うように描かれていたはず。平安時代有職文様、と連想しましたが、有職文様は平安時代の貴族が身につけていた柄なので、その頃の着物にこの柄は使われていたかどうか。たしか、有職文様はこれとこれ、と決められたものがあったはずです(美術館の展示で見た記憶がある)。

 

霞の形はそれ自体が具象的な文様であると同時に、その他の柄を配置するための区切りとしても使われていて、さらにそれ以外の柄が亀甲、七宝、桐竹鳳凰、菊、とこれでもか、とおめでたさテンコ盛りなので結婚式などおめでたい席用の帯です。黒留袖、色留袖なんでも合います。