梅の種 文様記録

柄や色の覚え書き

麒麟はいない

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鳳凰で検索したところで知った「四霊」に合わせて4種類柄を並べてみようと思ったものの、麒麟がどこにもない。2月に入ってからずっと着物や小物、手持ちの本で麒麟を探していたけれど見つからず、缶ビールを買いました。

 

着物の柄じゃないので画像も小さくしました。

 

麒麟の柄は世の中にあるのか?と思って近所の図書館で探して見たけれどやはりない。

 

短時間でざっと工芸の棚を探したところ麒麟の柄を取り上げている本は2冊しかなく、そのどちらもが1枚ずつだけ。本はリンクを貼るわけにはいかないので図も載せませんが、ひとつは和更紗の図録の中に、もう一つは世界の服飾文様図鑑の神格化された生き物の項に、それぞれ1枚だけ。

 

更紗の図録の中には鳳凰はたくさん飛んでました。更紗によくある唐草模様や連続模様には鳳凰の尻尾や羽など曲線的な扱いが多いので模様の中にはめ込みやすいからかと思います。中国の四霊、龍はうねうね長いし髭もあるし、霊亀は尻尾がふさふさ長い。

そうそう、亀の模様はいろいろ検索していたら弓浜絣にモチーフとしてありそうです。とても手が出ませんし、まだお目にかかったことはありませんが機会があれば亀のテーマに追加します(逢えるのかな?)

 

麒麟の柄があまりないなか、検索して出てくるのは、まず「麒麟がくる

それから、「桐竹鳳凰麒麟紋」。

 

麒麟がきた」はその衣装の色使いで賛否両論ちょうど騒がしかった時期でした。

色が派手、鮮やか、カラフル、どぎつい、チカチカする、きれい、ケバい、イマイチ、疲れる、などなど。

どちらかというと賛否の否が多かった印象です。

ドラマだからどっちもありでしょ、というのが私の基本的なスタンスで、大河だからどうだとかいう意見もありますがそこはどうでも。私は市の場面でシルク・ド・ソレイユを連想したので舞台だったらこれくらいの色があった方が映えるかな、と感じてじゃあやっぱりテレビで見るのだったら少し控えめくらいが見やすいかもしれないな、と思いました。

衣装よりも、違和感があったのは植物の緑色のほうです。風景の色合いが、きっとチカチカする、の印象はこちらの方ではなかったか、と思うくらい人工的でプラスチックみたいな、造花のような色が気持ち悪く感じました。まるでゲームやアニメの空間にいるみたいな。

昔の染料は中間色がなく、原色に近いという意見や支配者は色で権力を誇示していたという指摘、一方当時の染色の技術でこの色が出せたのか、とも。どっちでしょうね、色が出せたとしても堅牢度はそれほど高くなく褪色も結構したのではないでしょうか。

だから農民庶民がいつも鮮やかな着物を着ていたか、というとそこは違うんじゃないのかな、その辺りはもうちょっと着古した感じでないと私に、嘘でしょう、という違和感はなくなりません。

かまわないんですけどね、ドラマだから。

毎年大河を見ているわけではありませんが、数年前の柴咲コウ主演の大河はそのあたりうまくバランスが取れていたように思います。架空の人物の龍雲丸(柳楽優弥)の衣装は盗賊団のお頭の荒さと赤い麻の葉柄の派手さ、その反対の直親(三浦春馬)の青の着物の対比がとても好きでした。

 

もう一つ、桐竹鳳凰麒麟紋。

これは昨年が令和元年だったから。

即位の礼の装束の紋様でした。

 

www3.nhk.or.jp

 

キーワードは柄ではなく衣装の方の名前「黄櫨染御袍」ですが、この着物の柄が「桐竹鳳凰麒麟紋」です。

 

柄は下のリンクにありますがきっと着物の柄が気になっていればあちこちで画像は見られたと思うのでリンクのみ。

costume.iz2.or.jp

桐竹鳳凰即位の礼の記事の次にたくさん出てきたのが、雛人形の広告。そらそうです、お雛様の衣装です。この柄を着ています、というのは今年のセールストークになったのでしょう。

 

 元々は「桐竹鳳凰紋」で麒麟は後から付け足されたということですが、ここでも麒麟の影が薄い。どうしてでしょうね。黄色や紫は天子の色で、家来以下、禁色とされて身につけることはできなかった、というのは歴史で習いましたが、麒麟の柄も禁止されていたのか、と検索してみても出てこない。鳳凰に比べたら全然数が違う。柄として、あまり人気がないのか、単に知られていないだけなのか。

鳳凰>龍>亀>麒麟 の順に見かける頻度が下がっていく。

 

とにかく、麒麟というとやはり色柄ではなく、冒頭の缶ビールの麒麟しか出てきません、今のところ。

長くなってしまったし、今回行き詰まってあれこれ調べて検索して、時間がかなりかかったから今度こそ、毎日続くように軽くします。